ショートストーリー
明日への贈り物 Episode30
ずっと変わらない小さな母の大きな背中
いばらきの子どもと子育てファミリーへある家族の物語をご紹介します。
この物語が誰かの救いや気づき、そして児童虐待防止につながることを願って。
初めての育児の重圧と不安 故郷から来た最愛の応援団
無事に出産を終えた後の久しぶりの自宅。と思いきや、我が子の育児が怒涛の勢いでスタートした。数時間ごとの授乳におむつ替え、沐浴、理由も分からない泣きや漠然とした不安。さらに夫は毎日帰りが遅く完全にワンオペ育児。3週間が経つ頃には十分過ぎるほど疲労困憊だった。
1時間でもいいからゆっくりしたい……。そんな私の気持ちをテレパシーで感じ取ったのか、遠方の母親から「そっち行こうか?」と連絡が来た。夫も「来てくれたら助かるね」と話に飛びつき、急遽ヘルプ要請を出すと早速「明日行くよ」と言ってくれた。
翌日に到着した母は私の顔を見るなり「一人でよく頑張ったね。偉いえらい」とひと言。緊張の糸が解けたのか、一瞬で子どもの頃に戻ったような気がして思わず涙が出た。
「赤ちゃん久しぶりでしょ?気をつけてね」心配する私をよそに「何言ってんの。これでも3人を育てたからね」と言いながらサっとオムツを替えてくれる。(こんな風に私のことも育ててくれたのかな)そんな事を思うと小柄な母の背中がとても大きく見える。今、少しだけ母に甘えておこう。
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています